子供に習い事をさせたいけれど、仕事があるから通わせられない-そんな保護者の悩みに応え、保育園などが外部の教育機関と連携し、保育時間内におけいこ事をする「保けいこ」が注目されています。園内で英語やスイミングのレッスンを行ったり、園外の施設に送迎したり、忙しい保護者からも好評のようです。

 

 「Hello, Obie! (オービー先生、こんにちは)」。大阪府泉大津市の南海かもめ認定こども園。教室に入ってきた外国人講師に園児らが元気よくあいさつしました。講師がこいのぼりなどの図柄が描かれたカードを手に「It‘s May. Winter? (5月は冬かな?)」と尋ねると、すかさず「No, Spring! (ちがうよ、春だよ!)」と子供の元気な声。

 同園では2年前から英会話教室大手「ECC」(大阪市北区)から講師を招き、年少から年長のクラスの園児に年間20回、保育時間内に20~30分のレッスンを実施しています。「小学校の英語の授業で脱落しないために必要と判断した」と同園の担当者。英語に加え、近隣の水泳教室と連携し、水泳もカリキュラムに組み込んでいます。費用は別途かかるが、保護者からは「園での習い事なら仲の良い友達と参加できるし、休日をつぶさなくて済む」と好評だといいます。

 

 昨年、保育時間内のおけいこを「保けいこ」と“命名”したのは、リクルートマーケティングパートナーズ(東京都中央区)の調査・研究機関「赤すぐ総研」。研究員の大久保智子さん(36)によると、これまでも保育園や幼稚園内での習い事はあったが、一部の教育熱心な保護者のニーズに応えた内容が多く、あまり広がりませんでした。

 一方、近年は共働き世帯が増え、「子供に習い事をさせたいけれども、難しい」と悩む母親が少なくありません。英会話や水泳、音楽など人気の習い事は、主に平日の日中に行われ、送迎や立ち会いが必要な場合が多いためです。

 幼い頃から習い事をしていた世代が親となり、「親にしてもらったことを、わが子にもしてやりたいという思いが高まっているのではないか」と大久保さん。「保けいこはますます広がるのでは」と分析しています。

 

 需要の高まりを受け、幼児教室「明光キッズ」などを運営する明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)は昨年度、保育園への送迎をセットにしたサッカー教室を東京都内の一部教室で始めました。保護者からは好評だったものの、「防犯上、毎回同じ人に送迎してほしい」という園側からの要望を調整するのが難しく、今年度は実施には至りませんでした。

 ただし、「保護者の需要は非常に高いと感じており、園との連携を深めて対応したい」と同社キッズ事業部は語っています。今後、改めて実施する方向で検討しているそうです。

 ECCでは従来の英語教育に加え、5月から新たに「ダンス」のレッスンを開始。ダンスは中学校の学習指導要領で必修化されており、今年度中に関東や中部、関西の25園での導入を目指しています。同社の担当者は「英語教育を提供してきた保育園などに呼びかけていきたい」としており、すでに複数の園が関心を示しています。